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Phase024 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈⑨PartⅡ


024001 S024001
左:『超人バロム・1』第26話より
右:2010年12月
『超人バロム・1』第26話「魔人ハネゲルゲが赤い月に鳴く」で、猛の投げたボップに反応し、ジャンプする健太郎のカット。
この後、二人は、バロム・1に変身する。
場所は、Phase023で取り上げた個人邸宅から階段を挟んだ反対側。

024002 S024003
左:『超人バロム・1』第26話より(映①)
右:2010年12月
『超人バロム・1』第26話で、バロム・1と対峙するハネゲルゲ。
上述したガレージ脇にハネゲルゲが立っている。


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左:『超人バロム・1』第20話より
右:2010年12月
映画像①でハネゲルゲの背後に写る、ハートをモチーフにした(?)白いフェンスが特徴的な邸宅。
ここに掲載した映画像は、Phase023に掲載した階段から撮影されている。
『超人バロム・1』第20話「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」では、猛(演/飯塚仁樹)の姉・紀子(演/戸島和美)の友人・明美(演/大森不二香)の家として使用された。

02004 DSC03459
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2010年12月
この洋風然とした佇まいは、恰も高台に聳える古城と言える、・・・言えた。

024005 S024006
左:『好き!すき!!魔女先生』第23話より
右:2015年11月
『好き!すき!!魔女先生』第23話「恐怖の毒薬!地獄の妖女」では、月ひかる(演/菊容子)の教え子・岡本カオル(演/高柳孝子)の実家という設定で使用された。

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上2枚:『好き!すき!!魔女先生』第23話より
S024007
下:2015年11月
『好き!すき!!魔女先生』第23話で、月先生がアンドロ仮面に変身したのは、外灯の前。

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左:『超人バロム・1』第20話より
右:2008年12月
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左:『超人バロム・1』第20話より
右:2008年12月
猛らが開けようとした玄関も健在・・・、だった。

S024010
上:2017年3月
2017年3月現在、フェンスを残し、更地となっている。
建て替えかは不明だが、古城は幻と消えた・・・。


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上2枚:『好き!すき!!魔女先生』第17話より
S024011
下:2009年8月
『好き!すき!!魔女先生』第17話「恐怖の帝王アンドロメダ来る!」で使用された坂道で、上掲の古城然とした邸宅の南側に位置する。
掲載した映画像は、教頭先生(演/牧冬吉)が、東西学園の生徒・小島タケシ(演/川口英樹)の弟(演/役者不明)を捜索するシーン。
奥に見えるのは、『川崎市立西生田小学校』の旧校舎と旧体育館である(平成12年に全面建て替え工事が行われ、現在は近代的校舎に様変わりしている)。
尚、Phase023で紹介した「多摩美台ものがたり」には、「私の見た時は、前にお話しした嵐のため、跡かたもなく崩れ落ち、赤土の急斜面の中に、点々として大谷石が転がり、まことに惨憺たる有様でした」(原文まま)という記述がある。
〝嵐〟とは、1958年9月26日に襲来した伊勢湾台風のことで、〝赤土の急斜面〟とは、この坂道周辺を指している。

024012 S024012
左:『どっこい大作』第11話より
右:2016年4月
024013 S024013
左:『どっこい大作』第11話より
右:2016年4月
掲載した映画像は、『どっこい大作』第11話「呪いの味をうち砕け!!」で、この坂を転げ落ちるラーメン太郎(演/山田太郎)。
上掲の『好き!すき!!魔女先生』に映る風景とはあまり変わりないようである。


(主参考文献)
「多摩美台ものがたり」(佐藤憲次/1984年)


(映画像掲載作品)放映順
『超人バロム・1』第26話「魔人ハネゲルゲが赤い月に鳴く」(1972/9/24放送)
『超人バロム・1』第20話「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」(1972/8/13放送)
『好き!すき!!魔女先生』第23話「恐怖の毒薬!地獄の妖女」(1972/3/5放送)
『好き!すき!!魔女先生』第17話「恐怖の帝王アンドロメダ来る!」(1972/1/23放送)
『どっこい大作』第11話「呪いの味をうち砕け!!」(1973/3/19放送)


Phase024 End


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〇ロケ地紹介などで掲載する写真の中には、経年の結果、撮影時とは更に変貌を遂げている箇所があります(参考までに撮影年月を記載します)。



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Phase023 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈⑨PartⅠ

今回は、『多摩美界隈』某所に佇む階段を取り上げたいと思う。

022001 022002
S022002
上2枚:『仮面ライダー』第96話より
下:2016年4月
022004 S022005
左:『仮面ライダー』第96話より
右:2008年12月
この階段では、『仮面ライダー』第96話「本郷猛 サボテン怪人にされる!」において、サボテンバットが主婦らをサボテン化するシーンの一部が撮影された。
現在、往時には無かった手摺りが中央に備え付けられ、ステップ自体も既に改修されている。

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左:『仮面ライダー』第96話より
右:2005年12月
サボテンバットのアップ・カットが撮られた階段中程からの俯瞰アングル。

022010 S022014
左:『好き!すき!!魔女先生』第21話より
右:2008年12月
『仮面ライダー』第96話の放送から約一年前、『好き!すき!!魔女先生』第21話「呪いの金貨」で映し出された階段の様子。
ここは、天候や時間帯によって随分と違う印象を与えるが、やはり最も絵になるのは、晴れた日の夕刻。
階段に写し出される街のシルエットが美しくも、何処かもの悲しい。

022008 S022012
左:『どっこい大作』第14話より
右:2015年11月
まだ多摩美が多摩美台と呼ばれていた頃、「多摩美台長寿会会報」の第42号から第59号にかけて、「多摩美台ものがたり」と題された手記が連載された。
これは、昭和33年からこの地にお住まいになられていた故・佐藤憲次氏が手掛けたもので、昭和59年には、ご子息の憲光氏が小冊子にまとめられている。
そこには、多摩美(多摩美台)の変遷が詳細に述べられており、この階段についても、「今は立派になって居りますが、大谷石まるだしの階段が、今の通りの状態で出来て居りました」(原文まま)などと、数箇所にその様子が記載されている。
掲載した映画像は、『どっこい大作』第14話「すごい奴がまっていた!!」に映し出される、〝大谷石まるだし〟時の階段の様子。
これはこれで、非常に味わい深いものがあるのだが・・・。

022011 S022015
左:『好き!すき!!魔女先生』第21話より(映①)
右:2009年8月
022012 S022016
左:『好き!すき!!魔女先生』第21話より
右:2010年12月
こちらは俯瞰で捉えたアングル。
好き!すき!!魔女先生』第21話では、正夫(演/藤江善幸)が、世界中のコインをクラスメイトに売り、小遣い稼ぎをしようとするシーンが撮影された。
一目瞭然、擁壁の一部とフェンスが見事なまでに現存する・・・現存した(詳細は次回)。
東への路地脇にある擁壁は、後年に改修されたようである。
尚、映画像①でも分かるとおり、『好き!すき!!魔女先生』には、この後、『仮面ライダー』で少年仮面ライダー隊のナオキを演じた矢崎智紀、『仮面ライダーV3』で珠シゲルを演じた川口英樹を始め、当時、名を馳せた子役達が数多く出演している。

022013 S022017
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2008年12月
『超人バロム・1』第20「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」でワン・カットだけ使用された階段の俯瞰アングル。

022014 S022020
左:『どっこい大作』第15話より
右:2016年4月
022015 S022021
左:『どっこい大作』第15話より
右:2008年12月
『どっこい大作』第15話「磨け!鬼の道!!」に映し出された俯瞰アングル。
階段下部西側のガレージが現存する。

022016 S022022
左:『どっこい大作』第15話より
右:2015年5月
階段上で、麻生区高石3丁目方面をアップで捉えたアングル。
この眼下東側に「魚千代」という魚屋があるが、前述の「多摩美台ものがたり」には、昭和33年頃のこの周辺の様子が以下のように記されている。
「魚千代から少し階段寄りの処にそれこそわびしい裸電球の外灯がポツンとともされ如何にも未開地だなと思わせましたが、それでも魚千代の店の灯りと共に、防犯にはいくらか役に立ったものです」(原文まま)

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左:『超神ビビューン』第22話より(映②)
右:2015年5月
『超神ビビューン』第22話「蛙が娘になる?ごめんね母さん」制作時、緑色の手摺りが設置されていたことが分かる。


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上2枚:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
022020 022021
上2枚:『超人バロム・1』第26話より
S022024
上:2008年12月
掲載したのは、今も階段脇に佇む個人邸宅。
『好き!すき!!魔女先生』第6話「僕の弟はロボットだ!」では坂井邸として、『超人バロム・1』第26話「魔人ハネゲルゲが赤い月に鳴く」ではシゲル(演/高尾将嘉)の家として使用された。

022022 S022027
左:『超神ビビューン』第22話より
右:2015年5月
022023 S022028
左:『超神ビビューン』第22話より
右:2015年5月
『超神ビビューン』第22話制作時、階段は既に大谷石からコンクリートに改修されていたことが分かる。

022024 S022029
左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
右:2009年8月
022025.jpg S022030.jpg
左:『超人バロム・1』第26話より
右:2009年8月
門柱、及び門はリフォームされているが、その基本的凹凸構造は変わらない。
因みに、『好き!すき!!魔女先生』第6話では、元松竹の看板スター・小山明子が特別出演、坂井ノブオ(演/佐久田修)の母親役を好演した。
その際、『東映生田スタジオ』では大掃除が行われ、万全の態勢が敷かれたという。

022026 S022031
左:『超人バロム・1』第26話より
右:2008年12月
猛(演/飯塚仁樹)の背後に見える側溝が現存する。
前述の「多摩美台ものがたり」によると、多摩美(多摩美台)が開発され、住宅地として売り出されたのは、この階段周辺からだったという。

022027 S022033
左:『好き!すき!!魔女先生』第21話より
右:2009年8月
022028 S022034
左:『超人バロム・1』第26話より
右:2010年12月
S022035
上:2015年5月
現存する南側の擁壁。
芝生が植えられるなど綺麗に整備されているが、当時の雰囲気を存分に感じることが出来る。

022029 S022036
左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
右:2008年12月
022030 S022037
左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
右:2009年8月
掲載した映画像は、『好き!すき!!魔女先生』第6話において、坂井ノブオの家を後にする月ひかる(演/菊容子)と旗野先生(演/森本レオ)のシーン(上)、及びノブオがバラバラになった弟のケイタロー(ノブオが作ったロボット)を背負い、失意のうちに帰宅するシーン(下)で、共に擁壁の南側を階段から捉えた俯瞰アングル。
当時、ここに建っていた緑色のトタン屋根をした平屋建ては、その後、二階建てに増改築された(映画像②参照)ようである。

022031 S022039
左:『好き!すき!!魔女先生』第21話より
右:2010年12月
上掲した写真からも分かるように、一時期、更地の状態が続いていた(少なくとも、2005年の段階では既に更地であった)が、2010年に入り、白亜のコーポと一軒家が建築された。
掲載した映画像と写真を見比べてみると、西側奥に見える、外壁が茶色の住宅が現存しているのが分かる。


(主参考文献)
「多摩美台ものがたり」(佐藤憲次/1984年)


(映画像掲載作品)放映順
『好き!すき!!魔女先生』第6話「僕の弟はロボットだ!」(1971/11/7放送)
『好き!すき!!魔女先生』第21話「呪いの金貨」(1972/2/20放送)
『超人バロム・1』第20「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」(1972/8/13放送)
『超人バロム・1』第26話「魔人ハネゲルゲが赤い月に鳴く」(1972/9/24放送)
『仮面ライダー』第96話「本郷猛 サボテン怪人にされる!」(1973/1/27放送)
『どっこい大作』第14話「すごい奴がまっていた!!」(1973/4/9放送)
『どっこい大作』第15話「磨け!鬼の道!!」(1973/4/16放送)
『超神ビビューン』第22話「蛙が娘になる?ごめんね母さん」(1976/12/14放送)


Phase023 End


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Phase022 『東映生田スタジオ』④ 【第1ステージの謎】

(編集前記)
ロケ地に関する記事を暫く続けましたので、久しぶりに『東映生田スタジオ』にについて記したいと思います。
前回掲載分は、phase009 『東映生田スタジオ』③ 【真の裏話】(2017/2/14)ですので、それ以前の記事も含めてご参照頂ければ幸いです。



東映(東京制作所)と「細山スタジオ」との間で交わされた賃貸契約について、関連書籍には「1971年、年明け間もない頃」、或いは「1971年1月」といった記載はあるものの、その具体的締結日は何処にも見当たらない。

1971年1月23日という日付は、本契約書、及び覚書の発見によって明らかとなった。

尚、『東映生田スタジオ』には、最終的に第1ステージ、第2ステージ、第3ステージの三棟のスタジオが存在したが、当初はまだ第3ステージは建てられていない。
また、『東映生田スタジオ』における第1ステージ、第2ステージを、「細山スタジオ」ではそれぞれ第2ステージ(№2ステージ)、第1ステージ(№1ステージ)と呼称していたが、その他の施設も含めて、以下、注釈を記さない限り、本項では『東映生田スタジオ』での呼称で統一する。

S023001 S023002
上2枚:1971年1月23日付で交わされた契約書(以下、契約書①)の一部。
右にある石田人士とは、内田有作に新番組(『仮面ライダー』)制作を言い渡した人物である(Phase006参照)。

契約書①における契約期間は、1971年2月1日から同年4月30日までの三ヶ月間。
その対象物件は、以下の四施設であった。
・第2ステージ
・変電室
・スタッフルーム
・生田美術・小道具倉庫

ここで、すぐさま異論を唱えた方もいらっしゃるだろう。
「『仮面ライダー』のクランク・インは、第1話「怪奇蜘蛛男」における本郷猛の改造手術シーンであり、それは1971年2月7日、第1ステージに組まれたショッカー・アジトのセットで行われたはず」だと。

確かにそのとおりである。
しかし、契約書①には、第1ステージの文字が何処にも見当たらない。
一体、どういうことだろうか?

実は、もう一つ、同日付で交わされた覚書(以下、覚書①)、更には第1ステージも対象物件として記載されている契約書(以下、契約書②)と覚書(以下、覚書②)が存在したのである。
そこに何かヒントがあるのではないだろうか?
以下、考察してみたいと思う。

1月23日付で交わされた覚書①には、「貸主(𡈽方氏、箕輪氏)は、第1ステージを貸主(東映東京制作所)以外の第三者に賃貸する場合は、予めその旨を通知の上、了承を得なければならない。但し、その時点において、希望する場合、借主は優先的に当ステージを賃貸出来る」といった趣旨の内容が記されている。

S023003 S023004
左:1971年3月1日付で交わされた契約書(以下、契約書②)の一部。
内田の印は、おそらく内田有作のものと思われる。
右:同日付で交わされた覚書(以下、覚書②)の一部。

契約書②の対象物件は、以下の五施設。
・第1ステージ
・第2ステージ
・変電室
・スタッフルーム
・生田美術・小道具倉庫

ここで、契約書、及び覚書に則り、一度整理したいと思う(■・・・変電室、スタッフルーム、生田美術・小道具倉庫)。
1月23日・・・・・・・・・・・賃貸契約①締結(覚書①含む)
2月1日~28日・・・・・・・・使用(第2ステージ+■)
3月1日・・・・・・・・・・・・賃貸契約②締結(覚書②含む)
3月1日~4月30日・・・・・・使用(第1ステージ+第2ステージ+■)

真相は如何に―。
上記した覚書①の内容と、クランク・インを考慮すると、契約書①、及び覚書①が交わされた1月23日以降、遅くともクランク・イン前日の2月6日までに、東映(東京制作)側は、第1ステージについても賃貸を希望し、𡈽方氏、箕輪氏も承諾したと考えてまず間違いないだろう。

ではそもそも何故、同じ「細山スタジオ」の施設であるにも関わらず、1月23日の賃貸契約①締結時に、第1ステージを盛り込まなかったのか、以下に考察してみたいと思う。

まず以って、春の放送開始まで残された時間はあと僅か。
にも関わらず、制作拠点となるスタジオが確保出来ていなかった状況は、東映(東京制作所)、殊に内田有作にとっては、文字どおり危急存亡の心中だったはず。
最低限1クール分の制作に必要な期間(少なくとも三ヶ月ぐらいか?)が賃貸出来さえすれば、スタジオのスペースが余程狭く無い限り、例え一棟だけでも契約を締結したかったに違いない。
そのため、まずは〝スタジオの確保〟を実現させることを優先とし、前述、最低限必要な条件(対象施設)がクリア出来てさえいればよいと判断、その後の使用も鑑み(不測の事態に備え)、第1ステージを対象とした覚書①を準備したうえで、契約書①を締結したのではないだろうか。
或いは、当契約締結時、例の荷物が第1ステージにまだ多少残っていたのだろうか・・・。
これはあくまで憶測の域だが、少なくとも東映側が、間もなくして第1ステージに関しても賃貸を希望したことは、史実からしても疑う余地は無い。

では、何故、東映側が、第1ステージの賃貸を希望した段階(1月23日~2月6日の何れか。但し、セットの組み立てを考えれば、前日の2月6日は有り得ないのではないだろうか)で、別途、契約書は作成されなかったのだろうか。
契約書②、つまり3月1日付で交わされた契約書の第13条には、「本契約締結と同時に、1月23日付で締結した賃貸契約は失効する」旨の記載があり、1月24日以降、2月末日までの間に別途契約書が作成されていないことは明らかである。
この点について、箕輪氏のご子息・広実氏から大変興味深い証言を得ているので紹介したいと思う。

「親父(編注:正治氏)は、日取りを決める時、切りが良い日を好みました。例えば、この件について、実際には1月24日から第1ステージが使用されていたとしても、契約開始日は2月1日にしたと思います。ですから、契約(編注:契約書②)上、契約期間が3月1日になっていることから考えて、東映は2月に入ってから第1ステージを使わせて欲しいと言ったと思います。もしも、1月中に使いたいと言ってきていたら、第1ステージを盛り込んだもの(契約期間は2月1日~4月30日)に作り直し、再契約したと思うんです。この契約書(契約書①)の日付が1月23日になっているのは、最初の契約だったので、実際の日付通りにしたんだと思います。つまり、2月に入ってすぐに、東映は第1ステージについても賃貸を希望、親父たちは、2月中は無償で貸し、3月1日という切りの良い日付でこの契約(契約書②)を結び直したんじゃないかと考えられます。親父は、そういう性格でした」(談/箕輪広実氏)

残念ながら、箕輪正治氏は既に他界されており、また𡈽方氏も憶えていらっしゃらないとのことで、真相は藪の中。
しかし、正治氏の性格を熟知している広実氏の証言は大変興味深く、且つ経時的にも辻褄の合う考察と言えよう。
現段階では、広実氏の推察に則ったこの経緯が、最も信憑性が高いと思われる。

ここで、氏の推察に則り、改めて経緯を時系列にまとめてみると以下のようになる。
1月23日・・・・・・・賃貸契約①締結(覚書①含む)
2月1日~X日・・・・・使用(第2ステージ+■)
2月X日・・・・・・・・東映が第1ステージ使用を希望し、𡈽方、箕輪両氏も了承
2月7日・・・・・・・・クランク・イン
2月X日~28日・・・・使用(第1ステージ+第2ステージ+■)
3月1日・・・・・・・・賃貸契約②締結(再)(覚書②含む)
3月1日~4月30日・・使用(第1ステージ+第2ステージ+■)
■・・・・変電室、スタッフルーム、生田美術・小道具倉庫
X日・・・不明(但し、2月1日~6日と推察される)

因みに、スタジオの運営について、広実氏はこのように仰っている。
「二人の間に明確な役割分担はなかったようですが、交渉は主に𡈽方さんと親父の二人で、経理や事務などの細かい仕事は専ら𡈽方さんに担当してもらっていたようです。生前、親父からそのような話を聞いたことがあります」(箕輪広実氏)

以上、当初のスタジオ使用について、新たに発見された契約書、覚書をもとに考察を試みた。
これら資料は、『東映生田スタジオ』の歴史を知る上で、史料的にも大変貴重なものではあるが、当初、𡈽方氏、箕輪氏、そして石田人士(東映東京制作所)所有用に各々三部ずつ作成されたものの、少なくとも箕輪氏所有分については、残念ながら既に現存しない。

何れにせよ、『東映生田スタジオ』の正式な開設日は、1971年2月1日であったことは断言出来る。


(編集後記)
今回、第1ステージの謎につきまして、愚生なりに考察を試みました。
と申しましても、所詮はド素人の考え。
実は○○ではないか、△△ではないだろうか・・・などのご一考、ご意見が御座いましたら、お聞かせ願えれば幸いと存じます。
宜しくお願い致します。

尚、今回、記載しております契約書、及び覚書は、その性格上、写真も含め、詳細な掲載は控えさせて頂きます。
一部掲載しました写真は、𡈽方工作氏、𡈽方進一氏のご厚意によるものです。
両氏には、この場を借りて御礼申し上げます。


Phase022 End


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Phase021 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈⑥~⑧

「ファジーに記載する」としながらも、幾つかの作品、エピソードに跨り映画像を併載すると・・・。

【多摩美界隈⑥】
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左:『どっこい大作』第54話より
右:2016年4月
021004 S02104
左:『どっこい大作』第54話より
右:2016年4月
021005 S02105
左:『どっこい大作』第54話より
右:2016年4月
掲載した映画像は、『どっこい大作』第54話「ウソとハチのムサシ」において、タクシーの乗車を巡り、大作(演/金子吉延)が平田隆夫とセルスターズのメンバーと一悶着をするシーン。
唐突に現れる平田隆夫とセルスターズだが、ラスト・シーンでは、代表曲「ハチのムサシは死んだのさ」を披露している。
大作の背後にある斜めの門柱とその上に設置されたフェンス、及び映画像左に写る邸宅の外壁が現存している。
フェンスの傾きも往時のままというのは、まさに奇跡と言えよう。

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S02108
上2枚:『どっこい大作』第54話より
下:2016年4月
021008 S02109
右:『どっこい大作』第54話予告より
左:2016年4月
角度の問題で分かり難いが、奥に見える水色の建物は当時から建っていた模様(当時は個人邸宅、現在はコーポ。リペイントを含め、多少の改修はされていると思われる)。
また、外壁の一部が紺色の建物は、当時は美容院であった。

02023 S02101
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2014年9月
掲載した映画像は、Phase020で紹介した『透明ドリちゃん』第23話「超能力おじさんの正体」の一連で、死神(演/天本英世)の魔の手から千鶴(演/平井幸代)を救出したドリちゃん(演/柿崎澄子)と虎男(演/安藤聖一)のカット。
影の向きから、夕刻に撮影されたことが分かる。

021002 S02102
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2014年9月
上掲した映画像と同シーンで、逆アングル。
このシーンも、前述の『どっこい大作』第54話と同所で撮影されている。


【多摩美界隈⑦】
021010 S02113
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2015年11月
死神の姿が透視出来るという眼鏡をかけたドリちゃん。
背後のブロック塀が現存する。


【多摩美界隈⑧】
021011 021012
上2枚:『超人バロム・1』第19話より
S02111
上:2010年9月
掲載した映画像は、『超人バロム・1』第19話「魔人ヤゴゲルゲが子守唄で呪う」でワン・カット(ズーム)のみ使用された個人邸宅。
現在、北東側に建つ住宅の大木に遮られ、手前の十字路からでは上手く撮影出来ない。
そのため、掲載した写真は、そこから少し前進した場所からの撮影となっている。
因みに、当エピソードでヤゴゲルゲが唄う子守唄は非常に印象深く、我々に強烈なインパクトを与えた。
「ヤゴヤゴヤ~ゴの子守唄~、聞けばいつでも眠くなる~、ふわぁ~と眠りが忍び寄る~、ねんねんヤ~ゴよ、ヤゴ眠り~♪」

021013 S021112
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2014年9月
『透明ドリちゃん』第23話では、ドリちゃんがこの坂道を駆け上がっている。
『多摩美界隈』には同様の坂道が多く、また今も残る類似の擁壁など、特定を容易にさせない要素が数多く存在する。
勿論、そうした要素自体が、そもそもロケ地解明の醍醐味を味わう要素と成り得るのだが・・・。
尚、件の住宅の外壁は、2010年9月の段階では白色に再塗装されていたが、現在はピンク色に再々塗装されている。


(映画像掲載作品)放映順
『超人バロム・1』第19話「魔人ヤゴゲルゲが子守唄で呪う」(1972/8/6)
『どっこい大作』第54話「ウソとハチのムサシ」(1974/1/28)
『透明ドリちゃん』第23話「超能力おじさんの正体」(1978/6/17)


Phase021 End


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〇ロケ地紹介などで掲載する写真の中には、経年の結果、撮影時とは更に変貌を遂げている箇所があります(参考までに撮影年月を記載します)。



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比較などのために引用する画像の権利は、全て原権利者に帰属します。

Phase020 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈⑤


今回も、『多摩美界隈』の某所を取り上げたいと思う。

02001
上:『超人バロム・1』第20話より
S02001
上:2009年11月
『超人バロム・1』第20話「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」で、木戸家として使用された個人邸宅。
増改築はされているものの、随所に往時の名残が感じられる・・・、感じられた。
2016年、残念ながら取り壊され、現存しない。

02003 S02002
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2009年11月
掲載した写真は、『超人バロム・1』第20話で、猛(演/飯塚仁樹)と姉の紀子(演/戸島和美)が会話をした石段部分。

02004 S02003
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2015年12月
掲載した映画像は、巣箱然としたポスト越しに撮影されている(取材にあったものは、往時のものとは僅かに形状が異なる)。
道路を挟んだ向かいの大谷石で造られた擁壁も、数年前までは現存していた。

02005 S02004
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2010年9月
同じく『超人バロム・1』第20話において、サソリ人間に包囲された猛を救うべく、木戸家へと向かう健太郎(演/高野浩幸)のシーンの一部は、当邸宅北側の坂道で撮影された。
つまり、劇中、健太郎は木戸家に向かって走っているのだが、実際の撮影では、その木戸家を通り過ぎていたことになる。

02006 S02005
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2015年12月
上掲した映画像の一連。
右側に石段部分、及び手摺りが確認出来るが、生い茂る草により、現在、同様の撮影は難しい。

02007 S02006
左:『超人バロム・1』第20話より
右:2015年12月
同じく一連で、バロム・1に変身するため、健太郎がボップを投げるカット。
背後に見えるのは、一部現存する大谷石の擁壁。


02008 S02007
S02009
上左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話より
上右:2010年12月
下:2014年9月
02009 S02008
S02010
上左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話より
上右:2010年12月
下:2014年9月
『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話「黄色いスパイ戦!見たかYTCの威力」で使用された個人邸宅。
キレンジャー・大岩大太(演/畠山麦)らは、イーグル科学研究所で開発された地底探知機を廃品回収車にカモフラージュして移送することとなった。
掲載した映画像は、この計画を察知した黒十字軍が、彼らのカモフラージュを逆手に取り、一般人に成りすまして廃品回収を依頼、車を引き止めるカット。
場所は、前掲した木戸家の目と鼻の先。
こちらの個人邸宅もつい最近まで存在していたが、現在は賃貸アパートに変貌を遂げている。

02010 S02012
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話より
右:2010年12月
成長した庭木に遮られ分かり難いが、住宅の基本的構造に変わりはなかった。
尚、当シーンで一般市民(主婦)を演じたのは、『仮面ライダー』第76話で「怪獣のカンヅメ・モンスター」を売っていた由起 艶子。

02011 S02013
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話より
右:2014年9月
門内から捉えたアングル。
奥に見える白い外壁をご覧になって、ピン!と来られた方も多いはず。

02024 S02023
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話より
右:2015年12月
現存したブロック塀。

02012 S02014
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2014年9月
掲載した映画像は、『透明ドリちゃん』第23話「超能力おじさんの正体」における、ドリちゃん(演/柿崎澄子)と虎男(演/安藤聖一)の千鶴(演/平井幸代)捜索シーン
正面左側の住宅が往時の姿をそのままに残している。

02013 S02016
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2015年11月
同じく『透明ドリちゃん』第23話より、千鶴が死神(演/天本英世)の誘惑に乗り、事故で亡くした愛犬プチとの再会を夢見て、街を彷徨うシーン。

02016 S02018
左:『透明ドリちゃん』第23話より
右:2014年9月
背後の空き地は既に現存せず、今はガレージを有する立派な邸宅に変わっている。
左奥に見える階段に、当時の名残を感じることが出来る。

02014 02015
S02017
上2枚:『透明ドリちゃん』第23話より
下:2014年9月
上掲映像写真の一連で、千鶴を見つけたドリちゃんらは、この坂道を駆け降りる。
斜めに設けられていた電柱が姿を消しているのが分かる。

02018 02019
S02020
上2枚『透明ドリちゃん』第23話より
下:2014年9月
千鶴が立っていた坂道。
映画像に写る擁壁、外塀がそこかしこに現存する。

02020 S02021
上2枚:『透明ドリちゃん』第23話より
下:2015年12月
千鶴の肩に手を掛ける死神。
一方、基本的構造を残しながらも、既にリフォームされている箇所も多い。

02021 02022
S02022
上2枚:『透明ドリちゃん』第23話より
下:2015年12月
この坂道は相当な勾配があり、行き交うのはやはり車が多い。
しかし、時折、時間をかけて歩くご高齢者の姿も・・・。
きっと在りし日の『東映生田スタジオ』をご存知の方々に違いない。


(映画像掲載作品)放映順
『超人バロム・1』第20話「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」(1972/8/13)
『秘密戦隊ゴレンジャー』第34話「黄色いスパイ戦!見たかYTCの威力」(1975/12/20)
『透明ドリちゃん』第23話「超能力おじさんの正体」(1978/6/17)


Phase020 End


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Phase019 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈④

Phase013~018まで考証を行った、『かしわや』(跡地)や『小川商店』(跡地)前を北上すると、Y字路、そして『東映生田スタジオ』(跡地)に辿り着く。
その道中にも数多くのロケ地が存在するのだが、気分転換を兼ねて、今回より数回に渡り、『多摩美界隈』に点在する他の(比較的使用頻度の低い)ロケ地を中心に紹介をしたいと思う。
勿論、上記したロケ地については、また改めて考証を行う予定である。

因みに、先日、ある方より、詳細な場所を示さない方が謎解きのようで面白いのではないか?というご意見を頂戴した。
長い道のりを考えれば、色々と試すことは有意義と同意、今回から暫くの間、敢えて場所をファジーに記載したいと思う(既にご存知の方も多いと思われるが・・・)。

街を歩けば、そこかしこにコンビニエンスストアを目にするように、多摩美を歩けば、そこかしこでロケ地と遭遇する。

01901 S01903
左:『好き!すき!!魔女先生』第3話より
右:2008年12月
01902 S01904
左:『好き!すき!!魔女先生』第3話より(映①)
右:2010年4月
『好き!すき!!魔女先生』第3話「私を食べないで」で、林田ツトム(演/梅沢雅康)が駆け下りてきた坂道。
この後、彼は十字路を左折し、『東映生田スタジオ』御用達の名ロケ地へと向かう。
映画像左に写る擁壁は現存しており、当時よりも更に一段上乗せされている。

01903 S01905
左:『超人バロム・1』第30話より
右:2010年12月
同所は、『超人バロム・1』第30話「魔人ハサミルゲが待ちぶせて切る!!」でも使用されている。
健太郎(演/高野浩幸)の背後に写る空き地には既に住宅が建てられているが、その際に、基礎部分が一段上積みされたと思われる。

01904 S01906
左:『好き!すき!!魔女先生』第3話より
右:2012年7月
前掲した映画像①に続くシーンで、十字路を左折する林田ツトム。
当時、電信柱が木製であったことが分かる。

01911 S01913
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年5月
同所では、『超神ビビューン』第27話「月村がのっぺらぼうに?やったぜベニシャーク」で、香代(演/夏海千佳子)が、ノッペラボーに拉致された娘・ミチヨ(演/小貫千恵子)を助けようとするシーンが撮影された。
『好き!すき!!魔女先生』第3話制作時と同じく、電信柱がまだ木製だったことが分かる。

01905 S01907
左:『好き!すき!!魔女先生』第3話より
右:2010年12月
左折し、名ロケ地へと向かう林田ツトム。

01906 S01908
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年11月
01907 S01909
左:『超神ビビューン』第27話より(映②)
右:2015年5月
掲載した映画像は、『超神ビビューン』第27話で、ミチヨがノッペラボーに連れ去られるシーン。
アングルは、『すき!すき!!魔女先生』第3話において、林田ツトムが左折した十字路から坂道上部を捉えている。
この時期、路面には滑り止めが刻まれていたことが分かる。

01908 S01910
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年5月
こちらは、そのノッペラボーを追う月村圭(演/荒木茂)ら。
アングルは、坂道上部から前述の十字路方面捉えたもの。

01909 S01911
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年5月
ここは、映画像②の手前に写る路地を左に入った箇所。
住宅、擁壁、更には電信柱も含めて全てリフォーム済み。

01910 S01912
左:『超神ビビューン』第34話より
右:2015年11月
こちらは、『超神ビビューン』第34話「超神がのまれる?真赤な地獄の家」で映し出された、前述坂道中程にある住宅の門部分。
茅葺屋根の住宅を模したポストは改修されているが、それ以外はほぼ往時のまま残されている。


01912 S01914
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年11月
01913 S01915
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年11月
01914 S01916
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年5月
01915 S01918
左:『超神ビビューン』第27話より
右:2015年5月
前述した十字路から南側に延びる坂道。
『超神ビビューン』第27話では、前後して数カットが撮影された。


(映画像掲載作品)放映順
『好き!すき!!魔女先生』第3話「私を食べないで」(1971/10/17)
『超人バロム・1』第30話「魔人ハサミルゲが待ちぶせて切る!!」(1972/10/22)
『超神ビビューン』第27話「月村がのっぺらぼうに?やったぜベニシャーク」(1977/1/18)
『超神ビビューン』第34話「超神がのまれる?真赤な地獄の家」(1977/3/15)


Phase019 End



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Phase018 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈③PartⅤ

今回は、『小川商店』前から故・柏倉さんのお母さん宅、及び『かしわや』(柏倉さん宅)を捉えたアングルを考証したいと思う。

01725 36007
左:『仮面ライダー』第76話より
右:『どっこい大作』第36話より
左は、Phase014に掲載した『仮面ライダー』第76話における、『怪獣のカンヅメ・モンスター』を販売するタバコ屋店内から柏倉さんのお母さんの家を捉えた一連。
ベンチには、「パイゲンC」の〝パ〟の文字が見て取れる。
同様のアングルは、店外からではあるが、『どっこい大作』第36話「帰って来たびんぼう神!!」でも確認出来る。

29012 31005
左:『どっこい大作』第29話より
右:『どっこい大作』第31話より
32013 34002
左:『どっこい大作』第32話より
右:『どっこい大作』第34話より
35001 36013
左:『どっこい大作』第35話より
右:『どっこい大作』第36話より
『どっこい大作』では、西側道路から捉えた柏倉さんのお母さん宅(当時)が、他にも数エピソードで記録されている。
第34話、第36話の映画像を見ると、Phase014に掲載した、『仮面ライダーV3』第28話における少年ライダー隊員の通信カットが同所での撮影だとよく分かる。

29013 36004
左:『どっこい大作』第29話より
右:『どっこい大作』第36話より
S01801
上:2008年12月
当時、側溝は塞がれていなかったことが分かる。

29005 29007
上2枚:『どっこい大作』第29話より
30003 30005
上2枚:『どっこい大作』第30話より
31009 3027
上2枚:『どっこい大作』第31話より
36008 37002
左:『どっこい大作』第36話より
右:『どっこい大作』第37話より(映①)
S01802 S01803
左:2005年3月
右:2016年4月
掲載した映画像は、何れも「ハッピーパン」、もとい『小川商店』前から柏倉さんのお母さん宅、及び『かしわや』を捉えたもの。
『どっこい大作』第29話「ヘンな奴らが集まった!!」、第30話「男一匹こなごなだ!!」の映画像に写る「Coca₋Cola」と「オロナミンC(大塚製薬)」の看板広告が、第31話「ふくらめ! パンパカパン!!」、第36話「帰って来たびんぼう神!!」では、白い紙でマスキングされているのが分かる。
第29話、第30話制作(おそらく同時進行)後、本放送時、当作品の提供会社だった三菱電機(一社提供)への配慮を欠いた点に気付き、対応処理されたものと思われる。
映画像①にはっきりと写る近隣住民といい、まだまだおおらかな時代だった。
また、以前、記したように、柏倉さんのお母さん宅は既に現存せず、2016年には二度目の改修が行われている。

01801 S01807
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話より
右:2010年12月
01802 S01808
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話より
右:2012年9月
『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話「真赤な追跡!!姿なき暗殺者の正体」では、『かしわや』(柏倉さんのご自宅)と、柏倉さんのお母さん宅南西角が記録されている。
住宅改修(一度目)に伴い、電信柱が僅かに東側へ動かされ、その背後にあったブロック塀と、西側のブロック塀の一部を切断、ガレージの入り口に改修、利用されていた。
かつてのブロック塀跡は、今(二度目の改築後)もガレージ部分にしっかりと刻まれている。

01716 01717 01718
01719 01720 01721
01722 01723 01724
上6枚:『イナズマン』第15話より
S01815 S01817
左:2009年10月
右:2009年10月(写①)
『イナズマン』第15話「影をくわれたお母さん」では、かつてあった柏倉さんのお母さん宅のブロック塀がパンで映し出される。
映像に映る家屋は既に建て替えられていたものの、数年前までは、南側のブロック塀の一部が当時のまま残されていた。
写真①は、当エピソードで、丸目豪作(演/北村晃一)が駆け抜けた、柏倉さんのお母さん宅と『かしわや』の間の路地。


01803 S01818
左:『大鉄人17』第28話より
右:2010年12月
手前にフェンスがあることから、厳密に言うと、撮影はT邸(制作時は「若木荘」)前から行われたことが分かる。


(映画像掲載作品)放映順
『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」(1972/9/9)
『どっこい大作』第29話「ヘンな奴らが集まった!!」(1973/7/30)
『どっこい大作』第30話「男一匹こなごなだ!!」(1973/8/6)
『どっこい大作』第31話「ふくらめ! パンパカパン!!」(1973/8/13)
『どっこい大作』第32話「パンで突っこめ-パン!?」(1973/8/20)
『どっこい大作』第34話「ありがとう! カニさん!!」(1973/9/3)
『どっこい大作』第35話「ウソかマコトか?パンで勝負だ!!」(1973/9/10)
『どっこい大作』第36話「帰って来たびんぼう神!!」(1973/9/17)
『どっこい大作』第37話「父ちゃんがいた!!」(1973/9/24)
『イナズマン』第15話「影をくわれたお母さん」(1974/1/8)
『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話より「真赤な追跡!!姿なき暗殺者の正体」(1977/2/5)
『大鉄人17』第28話「出たぞ大海獣! ネッシーの子守唄」(1977/9/23)


Phase018 End



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当ブログは、管理人個人の趣味の範疇にあり、作品の配給元とは一切関係なく、利益を得ること、著作権を侵害する意図は一切ございません。
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Phase017 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈③PartⅣ


今回は、『小川商店』直近以南を取り上げたいと思う。

34004 34007
上2枚:『どっこい大作』第34話より
44001 44006
上2枚:『どっこい大作』第44話より
S01701
上:2016年4月
58099 S01702
左:『どっこい大作』第58話より
右:2016年4月
Phase14で掲載した『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」の映画像と同様、『小川商店』前から南側を捉えたアングル。
同店がレギュラー使用された『どっこい大作』では、やはり同アングルでの撮影が数エピソードで行われている。

これまで掲載してきた映画像からも明らかなように、当時は南側から、空き地→黄緑色のコーポのような建物→赤煉瓦の建物→『小川商店』と並んでいた。
現在、『小川商店』以南の三区画には、三軒の一軒家が建っている。
しかし・・・、どうも腑に落ちない。

01707 51001
左:『仮面ライダー』第76話より
右:『どっこい大作』第51話より
01709 55004
左:『イナズマン』第17話より
右:『どっこい大作』第55話より(映①)
IMG0912
上:2016年4月
映像からは断定し難いものの、当時と現在の区画は異なるように思えてならない。
具体的には、映像に映る赤煉瓦の建物の敷地よりも、現在、「オーロラ天文台」の南に隣接する住宅の敷地の方が広い印象を与える。
また、『かしわや』の柏倉さんは、生前、このようなことを仰っていた。
「当時、空き地は、道路よりも一段低い位置にあったんです。ですから、その名残で、今、建っている家も、一階の床部分は道路よりも低いんですよ」(談/柏倉さん)
映像に映る空き地は、遠方に捉えられたものばかりで、どれも草が生い茂り、道路との高低差は明らかではない。
但し、柏倉さんが仰っていたように、その跡地に建つ住宅は、確かに道路よりも低い位置に建っている。
尚、黄緑色のコーポのような建物は、「伊藤アパート」という集合住宅で、赤煉瓦の建物はT邸、1975年から90年代初頭にかけては「若木荘」という名でアパート経営も行われていた模様。
つまり、Phase016に掲載した『秘密戦隊ゴレンジャー』、『大鉄人17』、『透明ドリちゃん』の映画像に写るのは、「若木荘」時のものである。

29001 29002 29003
上3枚:『どっこい大作』第29話より
空き地から「伊藤アパート」を捉えたアングル。
01704 01705 01706
上3枚:『仮面ライダー』第76話より
場所は、「伊藤アパート」からT邸前。
01713 01714 01710
上3枚:『イナズマン』第4話より
背後に写るのは、「伊藤アパート」からT邸、最後に『小川商店』である。
DSC07113 DSC06811
左:2012年11月
右:2012年9月
左の写真は、かつて、空き地と「伊藤アパート」があった場所の現在の様子。
右は、T邸跡である。
『仮面ライダー』第76話の映画像は、駅(ロケ地は『小田急線/読売ランド前駅』)前から少年ライダー隊のチョコ(演/ミミー)らを監視し続けたショッカーの構成員(演/岡田勝)が、「怪獣のカンヅメ・モンスター」を販売するお店の店主に合図を送る直前のカット。

32004 01715
左:『どっこい大作』第32話より
右:『イナズマン』第17話より
T邸の二階部分は、『どっこい大作』数エピソードにおける引きのアングル、及び上掲した『イナズマン』第4話では確認出来るものの、アップとなると、ここに掲載した映画像二シーンのみである。


最後に、映画像①に注目したい。
路上に、子供用の自転車が数台停められているのが分かる。
「伊藤アパート」の南に広がる空き地では、〝ライダーごっこ〟に夢中となる子供たち・・・、そんな光景が自然と頭に浮かぶ。
『どっこい大作』第55話「夢よはばたけ」が放送されたのは、1974年2月4日。
その五日後には、第52話「デストロン最後の日」で『仮面ライダーV3』が最終回を迎えようとしていた。
〝変身ブーム〟のピークは過ぎていたと云われるが、町中には、自転車や三輪車に乗った仮面ライダーがまだまだ沢山いた頃である。
SGKU
上:「年刊 教育調査統計資料 №42 2014」(川崎市教育委員会)より一部改
上掲したのは、『仮面ライダー』の放送が開始された年、つまり『東映生田スタジオ』が開設された1971年から七年間の、川崎市麻生区にある小学校のうち三校を抜粋し、その児童数の推移をみたものである(表の( )はクラス数)。
当時の児童数は現在の比ではなく(三校とも、1974年から1975年にピークを迎えている)、『かしわや』や『小川商店』にも、連日、子供たちの声が響いていたに違いない。
それも、今となっては昔の話(因みに2014年の三校の児童数は以下のとおり。N小学校:797、M小学校:663、Y小学校:661)。
その『小川商店』跡地に建つ「オーロラ天文台」は、ご子息の誠治氏が、「星空の魅力を多くの人に知ってもらい」「天文ボランティアを育てたい」という素晴らしい夢を実現させるべく、2001年9月に開設されたたもの。
2006年から続く「星空を楽しむつどい」と名付けられた天体観測会には、毎回、多くの人達が集うという。
夜空を眺める人の中には、今よりもっと多くの星が、もっと近くに見えたあの頃、〝ライダーごっこ〟に夢中になっていたかつての子供もいるのではないだろうか・・・。


(主参考文献)
「年刊 教育調査統計資料 №42 2014」(2014年/川崎市教育委員会)


(映画像掲載作品)放映順
『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」(1972/9/9)
『どっこい大作』第29話「ヘンな奴らが集まった!!」(1973/7/30)
『どっこい大作』第32話「パンで突っこめ-パン!?」(1973/8/20)
『どっこい大作』第34話「ありがとう! カニさん!!」(1973/9/3)
『イナズマン』第4話「日本列島大爆発!!」(1973/10/23)
『どっこい大作』第44話「ひらけハスの花」(1973/11/12)
『どっこい大作』第58話「情無用の日本一」(1974/2/25)
『どっこい大作』第51話「洗われた愛」(1974/1/7)
『イナズマン』第17話「謎の対決!ふたりの渡五郎!!」(1974/1/22)
『どっこい大作』第55話「夢よはばたけ」(1974/2/4)


Phase017 End



お願い&お断り
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〇ロケ地紹介などで掲載する写真の中には、経年の結果、撮影時とは更に変貌を遂げている箇所があります(参考までに撮影年月を記載します)。



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Phase016 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈③PartⅢ


今回は、『小川商店』の南側、及び西側を、映画像のみで考証を行ってみたいと思う。
まずは、以下に掲載する8枚の映画像をご覧頂きたい。

01626 01627
上2枚:『透明ドリちゃん』第2話より(左:映① 右:映②)
01628 01633
上2枚:『透明ドリちゃん』第2話より(左:映③ 右:映④)
01629 01630
上2枚:『透明ドリちゃん』第2話より(左:映⑤ 右:映⑥)
01631 01632
上2枚:『透明ドリちゃん』第2話より(左:映⑦ 右:映⑧)
これらは、何れも『透明ドリちゃん』第2話「ふたりだけの秘密」のワン・シーン。
中川ユウイチくん(演/中野宣之)は、教頭先生(演/杉義一)が落とした二千円を拾うも、言い出すことが出来ず、ドリちゃん(演/柿崎澄子)にその罪を擦り付けようとする。
怒り心頭のドリちゃんは、街で見掛けた中川くんを尾行し、彼の家を覗き見するといったシーン。
その中川家の縁側、及び屋内は、『小川商店』が使用された(但し、家の外観に使用されたのは、かつて麻生区細山にあった『ビューティーサロン なかがわ』)。

01605 01606
上2枚:『仮面ライダー』第76話より
01610 01612
左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話より
右:『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話より
ここで、もう一度Phase015に掲載した4枚の映画像を見てみたい。
映画像①は、滝(演/千葉治郎)が開けようとしたドアの西側にあった窓越しに撮影されており、映画像②、⑥、⑦に写るのは、『仮面ライダー』第76話でも確認出来る縁側(映画像⑦右上に写る洗面台のようなものが、置き場所は異なるが、『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話の映画像でも確認出来る)。
また映画像③、④は、縁側から出入り出来た和室の内外から撮影されたもの。
映画像⑤の背後に写るのは、妙延寺の墓地である。
映画像⑧に写るポンプのような器具は、『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話の映画像でも同所に確認することが出来るが、『仮面ライダー』第76話制作時には未だ設置されていなかった。

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上2枚:『透明ドリちゃん』第21話より(左:映⑨ 右:映⑩)
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上2枚:『透明ドリちゃん』第21話より(左:映⑪ 右:映⑫)
上に掲載した4枚の映画像は、『透明ドリちゃん』第21話「父さんの腕に抱かれたい」における、ボスこと熊野幸治(演/ 武田雄二)宅の様子。
この撮影も、『小川商店』がロケ地として使用されている。
映画像⑨には、映画像①にも写る湯沸し器が確認出来る。

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上2枚:『大鉄人17』第28話より
これは、『大鉄人17』第28話「出たぞ大海獣! ネッシーの子守唄」において、小野隊員(演/大槻純子)と海野隊員(菅野直之)が、亡くなった第二太平丸の船員宅を訪れるシ-ン。
注目すべきは、左の映画像。
奥に見える襖、及び兜が置かれた箪笥は、それぞれ映画像④、及び映画像⑩に写るものと同じ。
つまり、この撮影も『小川商店』で行われたことが分かる。
右の映画像に写る屋根瓦と雨とい、そして映画像⑪、⑫に写る電力計のようなものは、その位置関係も含めて、敷地奥から捉えた『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話の映画像で確認することが出来る。


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上6枚:『どっこい大作』第35話より(上右:映⑬ 中左:映⑭ 下左:映⑮)
上に掲載した6枚の映画像は、『どっこい大作』第35話「ウソかマコトか?パンで勝負だ!!」において、孫一(演/由利徹)らが、トイレの順番待ちをするシーン。
この撮影は、一見すると、『東映生田スタジオ』の施設を利用したかのように思える。
特に、彼らの背後に見えるスレート壁が、第1ステージ、若しくは第2ステージを想像させ、また映画像⑬、⑮に写る坂道に設けられた木製のステップは、『仮面ライダー』第1話「怪奇蜘蛛男」クランク・イン直後に、〝仮面ライダー対蜘蛛男〟を始めとする一連のパブリシティ・スチールが撮影された階段を連想させる。
しかし、このシーンも『小川商店』、その西側で撮影されたもの。
そもそもスレート壁の建物がステージであったとするならば、2階にガラス窓はおかしい(映画像⑭参照)。
当時の施設配置をご存知であれば、「では、変電室の可能性は?」と思われる方もいらっしゃるだろう。
そして、木製のステップがある部分は、東側の遊歩道に繋がる小道だと。
しかしながら、そう仮定すると、林の奥に見える建物(屋根)の説明が付かない。
この林は、前述した妙延寺のもので、改修はされているものの、木製のステップ部分も僅かにその痕跡を残している。


(映画像掲載作品)放映順
『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」(1972/9/9)
『どっこい大作』第35話「ウソかマコトか?パンで勝負だ!!」(1973/9/10)
『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話「真赤な追跡!!姿なき暗殺者の正体」(1977/2/5)
『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話「黒い疑惑!!殺人スパイの罠」(1977/2/19)
『大鉄人17』第28話「出たぞ大海獣! ネッシーの子守唄」(1977/9/23)
『透明ドリちゃん』第2話「ふたりだけの秘密」(1978/1/14)
『透明ドリちゃん』第21話「父さんの腕に抱かれたい」(1978/5/21)


Phase016 End



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Phase015 【ロケ地】川崎市麻生区多摩美/多摩美界隈③PartⅡ


前回に引き続き、今回も、『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」で、「怪獣のカンヅメ・モンスター」を販売していたタバコ屋とその周辺を取り上げることとする。
正式名称を『小川商店』といったこのお店は、『かしわや』と同じく1969年の開業。
少なくとも1985年までは同名称で営業を続けていたようだが、その後は「国塚商店」と改名、2000年頃まで同形態で存在したことが確認されている。
現在の「オーロラ天文台」は、2001年に誕生している。
尚、今回は、その解明には参考という発想のなかった、他の『東映生田スタジオ』作品を加味し、総合的に考証を行ってみたいと思う。


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上2枚:『仮面ライダー』第76話より
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下:2011年7月
掲載した映画像に写る電信柱は、厳密に言うと、僅かに南に移動している。
尚、同エピソードで店主を演じたのは、由起艶子。
『かしわや』の店主・柏倉さんが、映画像をご覧になって「こんな女性の方はいらっしゃいませんでしたよ」と仰った女優である。
『仮面ライダー』では、他にも第96話「本郷猛 サボテン怪人にされる!?」で、サボテンバッドにサボテン化される主婦の一人を演じており、第35話「殺人女王蟻アリキメデス」では、アリキメデスの声も担当している。


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左:『仮面ライダーV3』第7話より
右:2012年9月
『仮面ライダーV3』第7話「ライダーV3怒りの特訓」では、河合三郎(演/池田忠夫)の妹・京子(演/真木沙織)が営むタバコ屋として使用された。


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左:『イナズマン』第4話より
右:2012年9月
『イナズマン』第4話「日本列島大爆発!!」では、丸目豪作(演/北村晃一)がアルバイトをする「三橋パン」として使用されている。


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上左:『どっこい大作』第29話より
上右:『どっこい大作』第36話より
下左:『どっこい大作』第37話より
下右:『どっこい大作』第53話より
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上:2011年7月
そして、この『小川商店』を語る際、絶対に外せないのが、その第3クール以降、「ハッピーパン」という店名でレギュラー使用された『どっこい大作』である。
港での荷役作業中に知り合った元パン職人・小山孫一(演/由利徹)と共にパン屋を開業する田力大作(演/金子吉延)。
貸し店舗に先住していた三吉(演/みずのこうさく)、男所帯に突如転がり込んできたキン子(演/山田由美子)、孫一の借金返済のお目付け役として鬼頭組から派遣されてきたよし(演/うえずみのる)、彼らと共に新生活をスタートさせた大作は、日本一のパン職人を目指すのであった・・・。


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左:『どっこい大作』第29話より
中:『どっこい大作』第30話より
右:『どっこい大作』第31話より
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上:2017年1月
『どっこい大作』では、『小川商店』の二階部分も度々映し出された。


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上左:『どっこい大作』第31話より
上右:『どっこい大作』第34話より
下左:『どっこい大作』第53話より
下右:2016年4月
劇中、「ハッピーパン」入口向かって右側には、フランスパン、バターロール、リッチロール、クロワッサン、ライブレッド、ホワイトブレッド、レーズンブレッドの七種のパン名が列記された、水色の大きな囲いが設置されていた。
これは〝Meiji〟の文字が記された冷蔵庫を隠す目的で設置されていたと思われる。
また、向かって左側の「手作りの味 ハッピーパン」の垂れ幕は、タバコの店頭看板と自販機を覆い隠すためだったと推察される。


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左:『仮面ライダー』第76話より
中:『どっこい大作』第29話より
右:『イナズマン』第4話より
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上:2016年4月
シャッターの色合いが『どっこい大作』のみ異なるように見えるが、これはフィルム加工の問題である。


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上2枚:『仮面ライダー』第76話より(右:映①)
『仮面ライダー』第76話で、ナオキ(演/ 矢崎知紀)に案内されて「怪獣のカンヅメ・モンスター」を販売していたお店の捜索に乗り出した本郷(演/藤岡弘)と滝(演/千葉治郎)。
掲載した映画像は、表のシャッターが閉まっていたため裏へ回った二人。
しかし・・・。

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上2枚:『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話より(左:映② 右:映③)
掲載した『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話「真赤な追跡!!姿なき暗殺者の正体」の映画像を見れば、一目瞭然。
実際は、建屋の南側部分であった(店舗入口は東側)。
映画像②の背後に映るのは、かつて『かしわや』の店主・柏倉さんのお母さんが住まれていた住宅。
映画像③に写る茶色のドアは、映画像①で滝が開けようとしているドアである。
同エピソードでは、黒十字軍のブラックシャドウ9が江崎貴美子(演/岡田杏子)と名乗り、一般市民に紛れ込み生活を送る場として使用された。

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左:『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話より
右:2012年9月
『秘密戦隊ゴレンジャー』では、第81話「黒い疑惑!!殺人スパイの罠」でも使用されており、明日香健二(演/伊藤幸雄)の幼馴染み・横田めぐみ(演/結城なほ子)が住むアパートとして、同じく『小川商店』の南側が記録されている。
尚、階段の下部分には、そのスペースを利用した物置が設置されており、これは、『仮面ライダー』第76話制作時には存在していなかったことが分かる。

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左:『仮面ライダーV3』第7話より
右:『仮面ライダーV3』第39話より(映④)
ここで、階段について―。
前述したように、『小川商店』を解明、把握するにあたり、他の『東映生田スタジオ』作品が果たした役割は非常に大きい。
しかし、参考となるはずが、そこに映し出される別の風景が解明出来ず、逆に心に引っ掛かるケースも少なくない。
『仮面ライダーV3』第39話「人喰い植物バショウガンの恐怖!!」に登場した「ひまわり荘」もその一つ。
映像に映し出されるのは階段周辺のみで、建物全体を捉えたものは記録されていない。
おそらく『多摩美界隈』に存在したコーポやアパートといった集合住宅だろうと予想は出来たものの、当時の数は現在の比ではなく、現存していても、その多くは既に改築されている。
が、後に『小川商店』がロケに使用されたと知る『仮面ライダーV3』第7話「ライダーV3 怒りの特訓」の映像を見てみると・・・、電信柱に印字された〝50〟、建物外壁に設置された電力量計周辺が、件の映像に映し出されるものと見事に一致。
結果、「ひまわり荘」=『小川商店』ということが判明したのである。

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左:『イナズマン』第17話より
右:左掲載映画像アップ
更に映画像④では、電信柱に〝14〟の印字も確認出来る。
同じく『小川商店』前で撮影された、『イナズマン』第17話「謎の対決!ふたりの渡五郎!!」の映画像をよく見ると、薄っすらとではあるが、〝14〟とその左に〝0〟の印字が電信柱に刻まれているのが分かる。

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上2枚:『仮面ライダーV3』第39話より
『小川商店』横に設置された階段の煽り、及び俯瞰アングルは、レギュラー使用された『どっこい大作』でも確認することが出来ず、『仮面ライダーV3』第39話でしか見ることが出来ない。

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上2枚:『イナズマン』第17話より
『イナズマン』第17話に映し出される『小川商店』南側の階段。
子供の目の高さにカメラを置き、階段ほぼ正面から僅かに煽りのアングルで撮影されている。
このアングルも、『どっこい大作』では確認出来ない。

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上2枚:『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話より
前掲した『秘密戦隊ゴレンジャー』第81話の同シーンでも、『小川商店』横の階段が記録されている。
右に掲載した映画像を見ると、物置が階段の角度に上手く合わせたて作られていたことがよく分かる。

これは、ほんの一例に過ぎないが、幾つもの作品、或いはエピソードを縦断して考察することによって、ロケ地を解明するばかりか、場合によっては、その全体像を把握することも少なくないのである。
『仮面ライダー』第76話に限って言えば、「怪獣のカンヅメ・モンスター」を販売していたお店が登場するシーンには、建物南側に設置された階段は殆んど記録されていない。
つまり、多少時期は異なるものの、他の『東映生田スタジオ』作品を通じて、『仮面ライダー』第76話の映像では把握し得ない『小川商店』の構造を、より立体的に捉えることが可能となるのである。


(映画像掲載作品)放映順
『仮面ライダー』第76話「三匹の発電怪人シードラゴン!!」(1972/9/9)
『仮面ライダーV3』第7話「ライダーV3 怒りの特訓」(1973/3/31)
『どっこい大作』第29話「ヘンな奴らが集まった!!」(1973/7/30)
『どっこい大作』第30話「男一匹こなごなだ!!」(1973/8/6)
『どっこい大作』第31話「ふくらめ! パンパカパン!!」(1973/8/13)
『どっこい大作』第34話「ありがとう! カニさん!!」(1973/9/3)
『どっこい大作』第36話「帰って来たびんぼう神!!」(1973/9/17)
『どっこい大作』第37話「父ちゃんがいた!!」(1973/9/24)
『イナズマン』第4話「日本列島大爆発!!」(1973/10/23)
『仮面ライダーV3』第39話「人喰い植物バショウガンの恐怖!!」(1973/11/10)
『どっこい大作』第53話「誇り高き戦い」(1974/1/21)
『イナズマン』第17話「謎の対決!ふたりの渡五郎!!」(1974/1/22)
『秘密戦隊ゴレンジャー』第79話「真赤な追跡!!姿なき暗殺者の正体」(1977/2/5)
『秘密戦隊ゴレンジャー』では、第81話「黒い疑惑!!殺人スパイの罠」(1977/2/19)


Phase014 End



お願い&お断り
〇当ブログの記事、図版、画像などを無断で複写、複製、転載、データ化することはご遠慮願います(諸般の事情により、一部、画像処理を施してあります)。
〇当ブログ中、一部を除き、関係者の名は当時のものを記載し、敬称は省略させて頂きます。
〇ロケ地紹介などで掲載する写真の中には、経年の結果、撮影時とは更に変貌を遂げている箇所があります(参考までに撮影年月を記載します)。



当ブログは、管理人個人の趣味の範疇にあり、作品の配給元とは一切関係なく、利益を得ること、著作権を侵害する意図は一切ございません。
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Author:hide男
東映生田スタジオと同作品ロケ地研究の場です。

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