Phase109 『東映生田スタジオ』⑳ 【(H)衣装~食堂~制作ルーム】PartⅠ


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上:『仮面ライダーアマゾン』第16話より
これまで何度か触れてきたが、その全景が、『仮面ライダーアマゾン』第16話「ガランダーの東京火の海作戦!!」劇中、「市山火薬工場」として使用された『東映生田スタジオ』。
今回、取り上げるのは、1階に衣裳と食堂、2階には制作ルームが入っていた建物で、掲載した映画像で言うと、青い屋根をしたプレハブ小屋である(以下、プレハブ小屋で表記統一)。

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上2枚:特写より(左:特① 右:特②)
下:2012年4月
特写①は、『仮面ライダー』第16話「悪魔のレスラー ピラザウルス」、及び第17話「リングの死闘 倒せ!ピラザウルス」制作時、プレハブ小屋西側で撮られたスチール。
ここに写るのは、第7話「死神カメレオン 決斗!万博跡」(1971年5月15日)放送分から開始された「仮面ライダーと共演の小学生募集」で選ばれた子供たち(出演は、第16話、及び第17話におけるプロレス観戦シーン)。
この案件は、1971年5月15日(土)付の「毎日新聞(夕刊)」でも告知されており、以下のように記されている。
「役柄は、主人公の仮面ライダーにからむ子供の役で、特に演技面でのむずかしさはなく子供の地のままで演じられる。出演する子供は、小学生に限られている以外は、とくに資格を問わない。(中略)撮影は毎週日曜日東京でおこない、七月第四週放送分から随時出演(一人一回)してもらう」(中略を除き、原文まま)
尚、第16話は7月17日の放送で、実際には第3週目であり、更に言うと、東京ではなく神奈川での撮影である。
特写②に写るのは、同所で撮られた『超人バロム・1』第12話「魔人キノコルゲはうしろからくる!」から登場する、マッハロッドの便宜上Bタイプと呼ばれるタイプ。
ここで、右の窓部分に着目してみると、白い木枠で作られた掲示板のようなものが確認出来る。
これは、『アクマイザー3』制作時、スタッフルームの南東角に設けられていたものと非常に酷似している(Phase082参照)が、この掲示板が移されたのか、更に同じ型のものが作られたのかは残念ながら定かでない。

ここで余談・・・。

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上2枚:『変身忍者 嵐』第1話より
特写②をよく見てみると、左側の窓越しに『変身忍者 嵐』の主人公・嵐のスーツが二着確認出来る。
上掲したのは、その嵐の変身シーン。
「変身忍者嵐は、その刀の鍔に特殊な振動を受けると、脳神経が異常活動を始め、体の細胞配列を変えることによって変身するのだ!」
劇中、中江真司のナレーションが被り、ハヤテ(演/南城竜也)の前に、無数の羽根が舞い上がる。
実は、これ・・・。
「当時、うちには養鶏場があったんです。ある日、学校から帰ってきた時、スタッフが落ちている鶏の羽根を袋一杯に集めていたので、「何に使うの?おじちゃん」と訊ねてみると、「嵐っていう忍者の変身に使うんだよ」って教えてくれました。はっきりと憶えています」
そう述懐されるのは、𡈽方進一氏。
ご存知の方も多いと思うが、嵐のデザインは、鉄仮面から最終的には鷲をモチーフしたものへと昇華されている。
しかし、その変身シーンに使用されたのは、養鶏場で飼われていた鶏の羽根だったというのだ。

閑話休題。
まずは、1階東側にあった食堂から―。

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上2枚:『仮面ライダーX』第3話より(左:映① 右:映②)
『仮面ライダーX』第3話「暗殺毒ぐも作戦!!」冒頭、水城涼子(演/美山尚子)は、バイクで走行中の神敬介(演/速水亮)に発砲するも失敗、高架下の工事現場へと逃げ込む・・・(映画像①)。
当シーンにおいて、ここまでは西新宿でロケが行われているが、次のカットからは明らかに同所とは思えないプレハブ小屋が映し出され(映画像②)、待ち伏せをしていたGOD戦闘工作員との戦闘シーンとなる。

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上2枚:『仮面ライダーX』第3話より(左:映③ 右:映④)
銃弾から身を伏せる神のカットが、、スタッフルーム南側を捉えた映画像④。
映画像③と見比べてみると、入口脇に置かれたネコ車を手前に、部屋の中から撮影されたことが分かる。
映画像②、及び③は、プレハブ小屋1階にあった食堂の北側出入口を捉えたアングルである。

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上2枚:『仮面ライダーX』第3話より
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上2枚:『仮面ライダーX』第3話より(右:映⑤)
ヘルメットなど、それらしい小道具も用意されているが、工事現場の寄宿舎と言われても何ら違和感の無い、まさにプレハブ小屋であったことが分かる(映画像⑤は、食堂内の西側)。
尚、映像からも明らかなように、簡易な流し台、給湯器(Rinnaiの手動圧電着火式イカ型給湯器)、更には珈琲の自販機(一杯50円)、テーブルがあっただけで、食堂と言うよりは、寧ろ休憩場といった趣があったのかもしれない。

ここで、一つ非常に気になる映像があるので、取り上げたいと思う。

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上2枚:『アクマイザー3』第30話より(左:映⑥ 右:映⑦)
それは、『仮面ライダーX』第3話から約二年後に放送された『アクマイザー3』第30話「なぜだ?! 眠る少女の謎」から。
ハリスフィンクスは、プレハブ小屋の北側を西から東へ向かって走っている。
まず右手に見えるのは、1階西側にあった衣装部屋(映画像⑥)。
そして、映像では、間髪入れずに段差が出現(映画像⑦)。
明らかに二棟のプレハブ小屋が存在したかのように見えないだろうか。
これまで種々の情報から当プレハブ小屋の1階は、内部で間切りされ、西側に衣裳部屋、東側に食堂が存在し、2階は全て制作ルームだったと考えていた。
冒頭に示した『仮面ライダーアマゾン』第16話の映画像を見ても、そう考えるのが妥当であろう。
一体、どういうことだろうか?

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上2枚:『アクマイザー3』第30話より
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上2枚:『アクマイザー3』第30話より
続いてハリスフィンクスは、東側のプレハブ小屋の前を走り過ぎ、2階へと続く階段を駆け上っていく。
西側のプレハブ小屋が西角に出入り口、その東側に窓が一つあったのに対し、これら四枚の映画像を見てみると、東側のそれは、出入り口を挟み、左右に窓が一つずつ設置されていたことが分かる。
ここで、映画像②と比較すると、この東側のプレハブ小屋が食堂だったことが分かる。
やはり、一棟のプレハブ内で間切りされていたわけではなかったのだろうか。

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上2枚:『アクマイザー3』第30話より
ここに掲載したのも、『アクマイザー3』第30話の同シーンから。
この映画像からも、隙間は僅かではあるものの、明らかに二棟のプレハブ小屋が存在していたことが分かる。

因みに、1971年1月23日、東映(東京制作所)と「細山スタジオ」との間で交わされた賃貸契約書には、このプレハブ小屋の記載は無く、且つ特写①の存在を考えれば、『東映生田スタジオ』開設間もなくして建てられたことは明らかである。

真相は如何に―?
結論を述べると、現在、視聴可能な全ての『東映生田スタジオ』作品、或いは閲覧可能なあらゆる関連書籍を調べてみても、明確な解答は得られていない。
しかしながら、愚生なりにある一つの結論に達しており、その点について以下に考察を示してみたいと思う。

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上2枚:『アクマイザー3』第30話より(左:映⑧)
掲載した映画像は、同じく『アクマイザー3』第30話において、ガブラが少女ネム(演/鈴木真代)の隔離場所へ乗り込み、ハリスフィンクスと闘うシーン。
ここは、その直前のシーン、及びカットから、明らかにプレハブ小屋の2階、且つアングルは西側を捉えていると分かる(右側の窓の外に見えるのは、スタッフルーム2階の窓)。
ここで注目すべきは、非常ベルが嵌められている白いパネルの左右の違いについて。
一目瞭然、向かって右側には窓が設置されているのに対し、左側には窓どころか板壁もなく、奥行きが認められるではないか。

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上:『アクマイザー3』第30話より
これは、映画像⑧左部分をアップにしたもの。
明らかに刳り貫かれているのが分かる。
しかも、それだけではない。
単に刳り貫かれただけだと、東側から見れば、西側の灰色をしたプレハブ部材が見えるはずが、ガラス窓になっているではないか。

つまり、こうは考えられないだろうか。

◇『東映生田スタジオ』開設間もなくして東側のプレハブ小屋が建てられた(特写①は、その時期に撮られたものである)。
◇その用途は、一貫して食堂であった。
◇やがて、西側の衣裳部屋が、東側の食堂に隣接するように建てられた(最初から建てられたのであれば、映画像⑤にあるように、食堂西側に窓を設ける意味がない。つまり、特写①に写る窓は、映画像⑤に写る窓である。特写①+衣裳部屋=特写②)。
◇2階は、東西ともに制作ルームとして使用された(『アクマイザー3』第30話制作時には、東側は半ば物置になっていたようにも見えるが・・・)。
◇2階については、東側プレハブから西側プレハブへ通ずる部分が後に確保された(西側増設に伴い、苦肉の策として刳り貫かれた)。
◇2階東側の窓ガラスの正体は扉(増設に伴い、最初から設計された)。
◇西側のプレハブ小屋増設に伴い、屋根も拡張された(冒頭の映画像をよく見てみると、手前1/3の屋根瓦の色が僅かに異なっているように見える)。

以上が、現段階での結論である。

基本は独立した二棟のプレハブ小屋であったものの、2階部分は往来が可能で、屋根も一つであったことから、「仮面ライダーSPIRITS 受け継がれる魂Ⅱ」(講談社 2003年)など、関連書籍では一棟の建屋として記載されたのではないだろうか。
また2階部分へのアプローチとしては、東側プレハブ小屋脇に設けられた階段以外にはなかったと思われる。
スペースから鑑みて、設置は実質不可能だったのではないだろうか。
二階部分の刳り貫きは、そのためだったと解釈すれば合点がいくと思うのだが。

以上、私論を記述したが、決定的な確証を得ておらず、これはあくまで憶測の域。
しかも、何故、幅を統一しなかったかについては全く解けていない。
今後も、この真相については調査を続けていく次第である。

尚、このプレハブ小屋については、『東映生田スタジオ』㉑を設け、もう少し触れてみたいと思う。


(謝辞)
今回も、決して公には語られることのない貴重な逸話を披露してくださった𡈽方進一氏。
この場を借りて、熱く御礼申し上げます。
有難うございました。


(主参考文献)
「毎日新聞(夕刊)」(1971/5/15発行)

(映画像掲載作品)放映順
『変身忍者 嵐』第1話「猛襲!! 怪魚忍者毒うつぼ」(1972/4/7放送)
『仮面ライダーX』第3話「暗殺毒ぐも作戦!!」(1974/3/2放送)
『仮面ライダーアマゾン』第16話「ガランダーの東京火の海作戦!!」(1975/2/1放送)
『アクマイザー3』第30話「なぜだ?! 眠る少女の謎」(1976/4/27放送)


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