Phase065 【ロケ地】川崎市麻生区百合丘/小田急小田原線百合ヶ丘駅周辺PartⅤ

「百合ヶ丘駅前にある吉沢商店の本店は今も駅の北側で県道世田谷町田線に沿ったところで営業して居られますが、社長の精一君は囲碁が大変好きでしたので、高石や万福寺の若人達がよく彼の家に集まって碁や将棋を指していました。この集りで話が出たらしいかったが、或る日私が吉沢商店に行った時、「あそこに駅を造って貰おうではないか」と精一君から突然はなしがあった。砂利置場のところは、西生田駅(今の読売ランド前駅)と柿生駅との丁度中間であり、東西両方は降り坂の勾配になっているが此処だけは平坦である。成る程こゝなら駅は出来る。耳よりなはなしで暫く縁側に端居して田圃越しに砂利置場を眺め乍ら話し合った」(『郷土史ゆりが丘』(著/大塚新平 1972年/大塚書店)より抜粋)

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上:『社会科副読本「南ゆり」』(1989年/川崎市立南百合丘小学校)より
これは、上記書籍に掲載されている、開業して間もない頃(具体的年月の記載なし)、『百合ヶ丘駅』南口ロータリーを西側から捉えた写真。
南、或いは南東から捉えたものはよく目にするが、これは、あまり見る機会のない写真と思われる。
現在、植え込みのある中央の三角地帯が、当時は車の停車場になっていた模様。
また、商店街のアーケードがなく、柳の並木だったことが分かる。
この様子は、『クレージー作戦 先手必勝』(1963年/東宝)でも確認することが出来る。

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左:『仮面ライダーアマゾン』第13話より
右:2017年7月
『百合ヶ丘駅』の開業は、1960年3月25日。
翌年に公開された、『喜劇 駅前団地』(1961年/東宝・東京映画)には、文字通り白亜の駅舎が記録されている。
尚、当初は、掲載した映画像に写る左の看板はなく、右側のものだけが掲げられており、文字も赤色であった。

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左:『仮面ライダーアマゾン』第13話より
右:2017年7月
『仮面ライダーアマゾン』第13話「迫る!十面鬼!危うしアマゾン!!」で映し出された開業14年後の駅舎。

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左:『アクマイザー3』第22話より
右:2017年7月
『アクマイザー3』第22話「なぜだ?! インチキ天才計画」で映し出された開業16年後の駅舎。
この5年後の1981年3月、新しい橋上駅舎に改修され、南北自由通路の構造となった。

では、南口ロータリーをもう少し詳しく考察していきたいと思う。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より(映①)
右:2009年8月
『東映生田スタジオ』作品で最初に映し出されたのは、『好き!すき!!魔女先生』第6話「僕の弟はロボットだ!」。
信夫(演/佐久田修)が作ったケイタローが、チンドン屋と練り歩くシーンで、南口にある商店街が映し出された。
掲載した映画像に、〝キャンデ-ストア〟と書かれた看板が確認出来る。
これは、当時、改札口前の横断歩道を渡り、すぐ右手にあった「森永 百合ヶ丘キャンデーストア」。
現在(2017年7月現在)、同所には「中本製麺所」が入っているが、掲載した写真は、それ以前、「麺ロード」時のものである。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
右:2009年8月
カメラは、横断歩道を渡るケイタローらを追う。
その背後に、「関山商店」「大塚書店」「百合ヶ丘薬局」「美登理屋食料品店」「理容コロナ」「吉沢酒店」「吉沢電機」といった通りに面したお店がパンで映し出されるが、今も元気に営業をされているお店、移転して営業を続けられているお店、残念ながら既に引退されているお店、更にはこの後に開店したにも関わらず、既に閉められたお店・・・、撮影から約半世紀が経過・・・、様々である。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第6話より
右:2010年4月
停車しているバスは、カリタス学園(川崎市多摩区中野島)のもの。
その背後に写る、二つの丸い窓を有した建物は、北隣に建築中であったビルと後に合わさり、現在は、1階にパチンコ店が入った「C'sビル1」となっている。
因みに、本放送当時は「大亜電化㈱」があり、それ以前となると、「ふたごのベアー」という文具・玩具店があったとのことで、子供たちから人気を集めていたという。

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左:『透明ドリちゃん』第8話より
右:2017年7月
『透明ドリちゃん』第8話「タローとジロー」では、「この犬をもらって下さい 雑種ですけど りこうな犬です ただし二匹を一緒に」と記された看板を掲げるシーンが、『百合ヶ丘駅』南口ロータリーで数カットされている。
背後に見えるのは、「百合ヶ丘ダイヤマンション」。
その西側には、まだ「横山ビル」が建っていなかったことが分かる。

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左:『透明ドリちゃん』第8話より
右:2017年7月
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左:『透明ドリちゃん』第8話より
右:2017年7月
『透明ドリちゃん』第8話における同シークエンス。
上に掲載した映画像の背後に写るのは、「スーパーゆりストア」の百合ヶ丘本店(詳細は後述)。

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左:『透明ドリちゃん』第8話より
右:2017年7月
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左:『透明ドリちゃん』第8話より
右:2017年7月
右背後に見えるのは、現在の「ファミリーマート百合ヶ丘駅南口店」の西側部分にあった「タマヤ洋品」の看板。
因みに、当時、東側部分には「マツムラ洋裁店」があった。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2017年7月
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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2014年12月
『好き!すき!!魔女先生』第8話「うそつき先生」で、尾関カズ子(演/荒井久仁江)がバスに乗ろうとしたのも、『百合ヶ丘駅』南口のロータリー。
背後に見えるのは、「川崎信用金庫百合丘支店」。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2017年7月
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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2009年8月
バスに乗ろうと並んでいると、スリの瞬間を目撃してしまったカズ子。
背後に見えるのは、「スーパーゆりストア」(百合ヶ丘本店)。

開業当初、「ゆりが丘ストア」であったことからも分かるように、その店名の由来は町名「百合丘」に起因する。
山百合の花・・・、百人ほどの地主の協力・・・、「百合丘」自体の名の由来は有名なところ。
しかしながら、その発案者、提案者は誰だったのか?については、意外と知られていないのではないだろうか。
その辺りの事情は、「ゆりが丘ストア」の創設者・笠原博氏の自叙伝『連邦-私と百合ヶ丘の八十年-』(著/笠原博 1990年/財団法人 日本放送教育協会 非売品)に詳しい。
駅の誘致運動は、具現化していく過程において、やがて公団住宅誘致へと発展していった。
当時、笠原氏は、住宅公団生田地区審議委員会の代表会長を務められている。

「昭和三十五年の一月に、審議委員会のメンバーをはじめ関係者が集まって、団地命名会議が開かれた。それまで、場所が高石町だから「高石団地」というように、なんとなく考えていたのだけれども、やはり、みんなで考えた方がよいということになった。わがふるさとである「高石」という名を残したいという意見をはじめ、いろいろと団地名について意見が出た。こういう時の常で、自分は意見を出さずに、提案をつぶすことに専念しているような出席者もいた。その時、私の頭に、ふっと浮かんだ風景があった。あの弘法松のがけの上から見おろした九十九谷の四季のうつろい・・・・・・。特に、初夏のよろこびを代表するような、あの真っ赤なツツジの群落、そして、それと入れ代わって、真夏の強烈な陽光を反射しながら、けわしいがけの斜面に点々と存在を示していた、あの純白な山百合の花々・・・・・・。「ユリ・・・・・・百合の花はどうだろう?」山百合の花は、神奈川の県花でもある。そして、「百合」というこの漢字名も、私は好きだった。それに・・・・・・と私は思った。この大団地はいろいろあったものの、つまりは百人近い地元の地主さんたちの私心のない努力がなければ、ここに生まれはしなかったのだ。「百合う丘」・・・・・・。「百合ヶ丘」―この団地名にも、否定意見はあった。たしかに、わがふるさと「高石」の名をなんとか残したいという気持は、この私にもあった。その気持は、今、百合ヶ丘駅近くの小田急の線路をまたぐ陸橋「高石橋」の名に残されている。これも私が命名した。「百合ヶ丘」―このかわいらしい名は、新しい団地にふさわしい名だと思ったし、いつまでも皆さんに愛される名であると、今でも信じている」(原文まま)

因みに、「ゆりが丘ストア」の開業は、1960年8月21日。
著書では、当時の様子が、以下のように記されている。
「八月二十五日、団地の人たちの入居が始まったので、米屋さんや牛乳屋さんに負けないように、団地の人たちの引っ越しをみんなでお手伝いして、店の宣伝につとめたものだ。開店の時には、まだ壁などは乾いていなくて、びしょびしょの中で開店した。一階だけの開店であった」(原文まま)

『喜劇 駅前団地』における『弘法松』でのシーンを思い出された方もいらっしゃるだろう。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2009年8月
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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2009年8月
掲載した映画像は、「川崎信用金庫百合丘支店」と線路の間にある路地を捉えたアングル。
『好き!すき!!魔女先生』第8話では、スリを追うカズ子のカットなどが撮影された。

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左:『好き!すき!!魔女先生』第8話より
右:2016年5月
教頭先生(演/牧冬吉)の背後に見えるのは、「川崎信用金庫百合丘支店」。
往時の佇まいをほぼそのままに残している。

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左:『アクマイザー3』第2話より
右:2017年7月
『アクマイザー3』第22話「なぜだ?! インチキ天才計画」では、その屋根の部分に立つメザロード(声/辻村真人)の姿が描かれた。

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左:『アクマイザー3』第22話より
右:2017年7月
前述、メザロードが見詰めていたのは、子供たちを誘導する兵士アグマー。
『好き!すき!!魔女先生』第8話で、カズ子が並んでいたのは、このバス停である。


(編集後記)
故・大塚新平氏が著書『郷土史ゆりが丘』で記されている「吉沢商店」は、残念ながら既に閉店されています。


(主参考文献)
『郷土史ゆりが丘』(著/大塚新平 1972年/大塚書店)
『社会科副読本「南ゆり」』(1989年/川崎市立南百合丘小学校)
『連邦-私と百合ヶ丘の八十年-』(著/笠原博 1990年/財団法人 日本放送教育協会) 


(映画像掲載作品)放映順
『好き!すき!!魔女先生』第6話「僕の弟はロボットだ!」(1971/11/7放送)
『好き!すき!!魔女先生』第8話「うそつき先生」(1971/11/21放送)
『どっこい大作』第26話「ゴメンよ!! 母ちゃん!!」(1973/7/9放送)
『仮面ライダーアマゾン』第13話「迫る!十面鬼!危うしアマゾン!!」(1974/1/11放送)
『アクマイザー3』第22話「なぜだ?! インチキ天才計画」(1976/3/2放送)
『透明ドリちゃん』第8話「タローとジロー」(1978/2/25放送)



Phase065 End


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